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CEO Message

代表取締役社長 斉藤 昭宏の写真

AI領域を中心に
新規事業の展開を加速させ、
世の中の革新に貢献する
先端テクノロジー企業として躍進します。

代表取締役社長斉藤 昭宏

平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申しあげます。ここに2023年3月期の事業及び決算の概況をご報告申しあげます。当期は主力のパチンコ・パチスロ機市場で新規則機への入替需要の収束などから、市場規模は縮小傾向にあったものの、メモリモジュール製品等の新規販売数が増加、また、新規事業ではAI領域において事業化が加速した結果、増収増益となりました。来期は売上高が当期を上回るものの、原材料高騰による一部製品の仕入単価見直しなどの影響から、若干の減益を見込んでおります。当社グループは企業理念のもと、引き続き既存事業での安定収益確保に注力し、新規事業では積極策を推進し飛躍を目指してまいります。株主の皆さまにおかれましては、引き続きのご支援をお願い申しあげます。

業績のご報告

  • 当期の連結業績について
  • 来期の連結業績について
  • 今後の成長戦略について

「LSI開発販売関連」セグメントの主力市場であるパチンコ・パチスロ機市場は、次世代遊技機の投入などで底堅く推移したものの、新規則機への入替需要が収束したことで市場規模縮小となり、年間の新台販売台数は158万台(前期174万台)程度と推計しています。こうした中、グラフィックスLSIがリユース率の低下等により、51万個(同44万個)に販売数が増加し、メモリモジュールも前期を上回る販売数103万個(同77万個)となりました。これにより、セグメント売上高は前期比3,707百万円増の13,852百万円、セグメント利益は同777百万円増の2,785百万円となりました。
「新規事業関連」セグメントでは、AI領域の開発支援ビジネスが伸長しました。その結果、セグメント売上高は同99百万円増となる622百万円、セグメント損失は同139百万円減となる405百万円となりました。また、各セグメントに配分しない全社費用は765百万円となりました。以上により、売上高は同3,807百万円増(同35.7%増)の14,474百万円、売上総利益は同1,029百万円増(同29.3%増)の4,546百万円で、増収増益となりました。
販売費及び一般管理費は、経営体制の強化や業績連動賞与の支給などにより、同253百万円増の2,931百万円となりました。また、研究開発費は同32百万円増の1,552百万円となりました。以上により、営業利益は同775百万円増(同92.4%増)の1,614百万円となりました。経常利益は営業外収益にNEDO助成金収入などを計上したことで同811百万円増(同81.0%増)の1,813百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同488百万円増(同56.4%増)の1,353百万円となりました。
期末配当につきましては、確定した業績と今後の経営環境等を勘案し、期初の計画から38円増配となる1株当たり78円(上場20周年記念配当16円を含む)とさせていただきました。財政状況は、流動資産12,798百万円、うち現金及び預金9,509百万円、自己資本比率83.5%で、引き続き高い健全性を維持しています。

連結損益計算書(要約)(百万円)

第27期 第28期 増減率
売上高 10,666 14,474 36%
売上原価 7,150 9,928 39%
売上総利益 3,516 4,546 29%
販売費及び一般管理費(研究開発費) 2,677(1,520) 2,931(1,552) 9%(2%)
営業利益 839 1,614 92%
経常利益 1,001 1,813 81%
親会社株主に帰属する
当期純利益
865 1,353 56%

連結貸借対照表(要約)(百万円)

第27期末 第28期末
流動資産 11,010 12,798
固定資産 1,264 1,084
資産合計 12,274 13,883
流動負債 1,605 2,145
固定負債 39 42
負債合計 1,645 2,187
純資産合計 10,629 11,695
負債・純資産合計 12,274 13,883

「LSI開発販売関連」セグメントは、パチンコ・パチスロ機市場が次世代遊技機の販売などで底堅く推移するものの、顧客ヒアリング等をはじめとする詳細な市場分析を踏まえ、市場規模150万台(2023年3月期:158万台)を前提に業績予想を策定しました。その中で主力のグラフィックスLSIは、53万個(同51万個)、メモリモジュールはリユース率の上昇を見込み84万個(同103万個)の販売計画としました。以上から、セグメント売上高は2023年3月期比788百万円増の14,640百万円を計画しました。
「新規事業関連」セグメントでは、組み込み機器向けグラフィックスLSIの販売が、顧客の需要動向から5.2万個(同3.8万個)に増加となる見通しです。新規事業では、AI領域で事業が伸長し、セグメント売上高は同178百万円増の800百万円と当期を大幅に上回る販売計画になりました。以上から、売上高は15,440百万円と同965百万円増加するものの、売上総利益は同6百万円減の4,540百万円、売上総利益率は同2.0ポイント悪化となる29.4%の見通しです。これは原材料価格の高騰を起因とした一部製品の仕入単価上昇分を販売価格の見直しで吸収しきれないことが主な要因です。
販売費及び一般管理費は、グループ会社の規模拡大に伴う固定費増などを見込み、同98百万円増の3,030百万円を計画しました。以上により、営業利益は同104百万円減の1,510百万円、経常利益は同283百万円減の1,530百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同253百万円減となる1,100百万円の計画としました。配当につきましては株主還元方針に則り、1株当たり51円の計画としました。

第29期の連結業績予想(百万円)

第28期 第29期(計画) 増減率
売上高 14,474 15,440 7%
売上原価 9,928 10,900 10%
売上総利益 4,546 4,540 △0%
販売費及び一般管理費(研究開発費) 2,931(1,552) 2,380(1,350) 3%(△1%)
営業利益 1,614 1,510 △6%
経常利益 1,813 1,530 △16%
親会社株主に帰属する当期純利益 1,353 1,100 △19%

Column株主優待制度を導入しています

投資先としての魅力向上で知名度を高めるとともに、当社株式を長く保有してもらうことを目的として、株主優待制度を導入しています。具体的な株主優待の内容は以下のとおりです。保有株式数、継続保有期間に応じてクオカードを贈呈します。

保有株式数 継続保有期間及び優待内容
1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
100株以上500株未満 - クオカード500円
500株以上 - クオカード
500円
クオカード
3,000円

毎年3月31日現在の株主名簿に記載又は記録された株主さまで、上記の継続保有期間及び保有株式数に該当する株主さまを対象とします。

継続保有期間1年以上とは、毎年3月31日及び9月30日の当社株主名簿に同一の株主番号で、3回以上連続して記載又は記録された株主さまとします。

継続保有期間5年以上とは、毎年3月31日及び9月30日の当社株主名簿に同一の株主番号で、11回以上連続して記載又は記録された株主さまとします。なお、保有株式数については、直近の基準日時点の保有株式数にて判定します。

 LSI開発販売関連(パチンコ・パチスロ機市場)では安定収益の確保に注力し、新規事業関連では持続的な成長・飛躍を目指します。中長期的には新規事業関連をLSI開発販売関連と同程度の規模に育成することを目標に掲げ、主にAI領域でのビジネス拡大への取り組みを積極的に推進するとともに、幅広い分野で今後応用が期待されるブロックチェーン技術(WEB3.0関連領域)へも注力します。
AI領域では、推論領域のAIソリューションである「ailiaSDK」を中核として、AI支援サービスで積み上げてきた実績をもとに、ロイヤリティビジネスへの拡大を加速させます。注力市場としてFA(ファクトリーオートメーション)、スマートシティ、スマートモビリティ、ヘルステック分野などを見据えていますが、既にいくつかのプロジェクトが着実に進行しています。
ブロックチェーン領域では、今後の社会変革を実現する技術として、Web3.0関連の潜在可能性に注目しています。このWeb3.0関連技術は今後幅広い分野で応用が検討されており、2030年に向けて年平均成長率40%を超える成長が見込まれている有望な市場です。当社グループとしても今まで培ってきた技術力が生かせる分野として注力していきます。
新規事業の加速に向けては、積極的な投資、出資・M&A等も検討します。
当社グループは、こうした取り組みによって株主の皆さまの期待に応えられるよう努めていきます。今後も引き続きのご支援を賜りますよう、お願い申しあげます。

新規事業の進捗

  • アクセルグループの
    事業内容と強み
  • 事例紹介

当社グループでは、既存事業での安定収益確保、さらには新規事業の展開を加速させるため、組織再編や出資等を積極的に実施しています。各社で蓄積した技術・ノウハウをグループ内で融合することにより、お客さまに最適なソリューションを提供しています。

アクセルグループの強みの図 半期の活動進捗の図

機械学習/AI自動運転に特化した
LSIの試作品が完成

国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)公募事業の一環として、株式会社ティアフォー・東京大学・埼玉大学と連携し、当社のAI技術を融合して取り組んできた自動運転に特化したLSIの試作品が完成しました。2023年3月より本LSIを搭載した自動運転車両で実証実験を開始、システム全体を評価し、今年の夏ごろに成果を公表する予定です。今後は自動運転をはじめとするAIを利用した様々な分野への展開・事業化を加速していきます。

プロジェクト推進体制とロードマップ

プロジェクト推進体制とロードマップの図

機械学習/AIブロック
チェーン
WEB3.0関連の要素技術・AI技術の活用で
戦略的パートナーシップを締結

株式会社&DC3が開発する「DC3」は、WEB3.0関連の要素技術を取り入れ、従来困難だったあらゆるデジタルデータを唯一無二の「モノ」として扱えることを可能にしたコンテンツ流通基盤ソリューションです。当社はこの理念に賛同し、&DC3及び親会社である株式会社セルシスと戦略的パートナーシップを締結しました。当社が保有する暗号化技術を使用して、ライセンス管理ソリューションの共同開発を行い、利便性・価値向上を推進するとともに、セルシスとはAIを駆使した共同開発により一層の関係強化を図ります。3社の技術や知見を結集し、WEB3.0やAI等を駆使した先端技術の社会実装に貢献します。

WEB3.0関連の要素技術・AI技術の活用で戦略的パートナーシップを締結の図

特集 AI領域への取り組み

取締役インタビュー

取締役インタビュー
  • Q.新規事業を統括する立場から、現在のAI動向をどのように捉えていますか。

    2023年に入り、OpenAI社が開発したChatGPTに代表される生成系AIが大きな脚光を浴びました。この流れの中で、産業界では「AIをうまく活用しないと競争力を保てない」と考える企業が増え、2017年からAIの開発をスタートし、お客さまとの関係性を構築してきた当社グループへの問い合わせが一気に増加しています。この状況を好機と捉え、AI領域に当社グループのリソースを集中し、事業の成長を加速させています。

  • Q.AI領域におけるアクセルグループの強みを教えてください。

    我々の一番の強みは、AI推論エンジンである「ailia SDK」を自社開発している点です。AIのエンジン部分を開発しているのは、主にGAFAと呼ばれるGoogleやFacebook(現Meta)などの米国IT企業です。それらの巨大企業に対して、十分に競争力がある推論エンジンを国内で独自開発しているという点が一番の強みであると考えています。自社で開発することで、ポータビリティが高い製品を提供することができます。一般的なAIは、例えばNVIDIA社のチップでは動くがAMD社のチップでは動かない、PCでは動くがスマートフォンでは動かないなど、ハードウェアやデバイスの環境に依存してしまうことが多々あります。AIは今後さらに色々なデバイスに入っていくと考えていますが、そこに対して、我々の「ailia SDK」はクロスプラットフォームを実現しているので、あらゆる環境、あらゆるデバイスでAIを動かすことが可能です。
    また、AIを使ってみたいけど、まず何から手をつければ良いか分からない、というお客さまもいらっしゃいます。そのようなお客さまに対して、「ailia SDK」では、270種類を超えるAIモデル(「ailia MODELS」)を用意しており、その中からお客さまのニーズに合致したAI利用のかたちを幅広くご提案することが可能です。AIを下回りから開発してきた経験が当社グループにはあり、お客さまからのAIに関する幅広いご相談やニーズを我々の「ailia SDK」を使えば実現することができるというのも大きなポイントです。
    数年前にAI開発の成果を、技術ブログとして公開し始めました。現在、ブログの記事数も膨大になってきており、AI関連をネット検索し、ブログ経由で問い合わせいただくことも増えてきました。この環境下から、AI支援サービスを提案し商談に繋がるようなケースも増え、広く提案できる環境も整ってきていると感じています。

    人物検出 AI model(例)

    駐車場空き情報検出 AI model(例)

  • Q.AIの課題、それに対する技術面からの取り組みを教えてください。

    AIは生活のあらゆる場面で使われてきており、今まで人間の手でやっていたことが、AIベースに置き換わっていくところを、まさに今私達は目の当たりにしています。しかしながら、まだ「精度」に関する課題があり、全てをAIに任せるのではなく、適材適所で上手にAIを使っていくというのが主流だと感じています。例えば、イラスト制作であれば、人間が線を描くと、AIがその後を引き継いで色を塗ってくれたりします。自動運転であれば、人がいるかどうかの空間認識をAIに任せて、その後のハンドルを切る操作は人間やアルゴリズムがやったりといった棲み分けのかたちです。
    電気使用量の課題もあります。AIが普及していき、サーバーやシステムをフル稼働させると、データセンターで膨大な電力が必要になります。どのようにこの電力を安定供給させるかが、日本における課題とも言われていますが、我々としては、そこに対してソフトウェア、ハードウェア両面から取り組んでいきたいと考えています。ソフトウェアのアプローチでは、計算処理の効率化によりできるだけ計算量を少なくし、同じ電気量でもより高速処理が可能なAIを開発することで、相対的に電気使用量を抑えます。また、その高速処理に最適化したハードウェアを提案することで使用電力を抑える取り組みも推進します。このようにAIの性能向上と低消費電力化に対して、ソフトウェアとハードウェア両面から取り組むことができるという点も、大きな差別化要因と考えています。

  • Q.今後のサービス面からの事業展開を教えてください。

    超汎用AIとも言われましたが、何でもできるAIを誰もが夢見ていました。今はパーツが揃ってきていて、音声認識AIや、テキストによる応答を行うAIであるChatGPT、検索AI、音声合成AI、CGを作るAIなど、全てを組み合わせると、今まで夢だったものが作れるような時代になってきています。我々はAIをトータルソリューションとして提供・支援できる企業です。「ailia SDK」はそれら色々な機能のAIが利用されるあらゆる場面でのセット提供が可能であり、お客さまの多種多様なニーズに合ったAIサービスを提供していきます。
    具体的には、既にFA、スマートモビリティ、スマートシティなどの領域でお客さまへのソリューション提供が始まっています。業界毎にライブラリや、ソリューションを提供し、よりアプリケーションに近いところにも力を入れていく予定です。まずは、2023年5月に新規ソリューションとして「ailia AI Speech」をリリースしました。OpenAI社の音声認識モデルと「ailia SDK」を融合し、AIを使用した音声認識機能を様々なアプリケーションへ簡単に実装することを可能にしたもので、大きな特長は、AIをオフラインでセキュアに使えることです。そのため、医師と患者の会話を記録する電子カルテや、機密事項を議論する会議の議事録作成などにも使用できます。さらに、手もとのパソコンやスマートフォンでも処理できるため、クラウドサービスでは必須となるデータ転送コストがかからなくなる点も大きなメリットです。
    このほか、OSS版のAIモデルも活用し、事業の可能性を広げていきたいと考えています。

  • Q.人材強化について教えてください。

    事業加速に向けては、社内リソースに加えて、新たな人材の確保にも注力しています。
    私が客員准教授として講義を行っている筑波大学では、講義などで出会った優秀な学生をインターンとして当社に招き、研究開発に参加してもらっています。そこから当社の技術に興味を持ち、入社に繋がる人材もいます。筑波大学では学生対象のAIコンテストの開催を計画しており、AI開発に興味を持つ優秀な学生との接点をつくり出していきたいと考えています。また、先程述べました技術ブログを通じてアプローチしてくる学生もいます。このほか、グループ会社のaxには、グローバルな人材が集まってきています。こうした人材の多様な発想も、今後のビジネスに活用したいと考えています。