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CEO Message

代表取締役社長 斉藤 昭宏の写真

パチンコ・パチスロ機市場における
持続的な収益確保とAI領域における
トップラインの増加を目指します。

代表取締役社長斉藤 昭宏

2025年6月更新
平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申しあげます。2025年3月期はパチンコ・パチスロ機市場において次世代遊技機の普及が進む中で、全体としては一部に減速感が見受けられました。LSI開発販売関連セグメントでは、新紙幣対応に伴う新台投資の鈍化が予測されていましたが、実際の影響は限定的であり期初の業績予想を上回る結果となりました。新規事業関連セグメントでは、AI領域における大口取引の開発中止が影響し、2024年3月期比で減収となりました。2026年3月期はパチンコ・パチスロ機市場で主力製品のリユース率が高まる見通しですが、一定の需要が継続するとの見込みから、引き続き安定収益の確保に注力してまいります。また、AI領域では組織体制等の強化を行い、2025年3月期を上回る業績の達成を目指します。これらの状況に対するご理解と継続的なご支援を心よりお願い申しあげます。

業績のご報告

  • 当期の連結業績について
  • 来期の連結業績について
  • 今後の成長戦略について

「LSI開発販売関連」セグメントにつきまして、パチスロ機市場は、2024年3月期にスマートスロットの人気を背景に市場が拡大した反動減の影響もあり、2025年3月期は販売台数が2024年3月期を下回る水準となりました。一方、パチンコ機市場は、スマートパチンコ専用の新ルールを搭載した機種の導入が継続する中で、2024年3月期並みの販売台数を維持しており、底堅い推移を見せております。これにより、年間の新台販売は153万台(2024年3月期161万台)と推計しています。その結果、主力のグラフィックスLSIは51万個(同64万個)の販売に留まり、新規販売ベースのメモリモジュールも2024年3月期の販売数に及びませんでした。以上により、セグメント売上高は2024年3月期比2,133百万円減の14,804百万円、セグメント利益は同1,077百万円減の2,610百万円となりました。「新規事業関連」セグメントでは、AI領域を中心に事業の規模拡大に取り組みましたが、セグメント売上高は同192百万円減の440百万円、セグメント損失は同113百万円増の495百万円となりました。また、各セグメントに配分しない全社費用は654百万円となりました。
これにより、当初計画及び2024年11月6日に公表した業績予想の上方修正数値は上回ったものの、売上高は同2,325百万円減の15,244百万円に留まり、営業利益は同965百万円減(同39.8%減)の1,461百万円、経常利益は同906百万円減(同37.0%減)の1,542百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同792百万円減(同44.8%減)の978百万円となりました。期末配当は、2024年11⽉6⽇に公表した前回予想から4円増配となる1株当たり45円としました。財政状況は、流動資産12,411百万円、うち現金及び預金5,000百万円、自己資本比率85.6%で、引き続き高い健全性を維持しています。

損益計算書(要約)(百万円)

  2024年
3月期
2025年
3月期
増減率
売上高 17,570 15,244 △13%
売上原価 11,972 10,856 △9%
売上総利益 5,597 4,388 △22%
販売費及び一般管理費 3,171 2,926 △8%
営業利益 2,426 1,461 △40%
経常利益 2,449 1,542 △37%
親会社株主に帰属する
当期純利益
1,771 978 △45%

貸借対照表(要約)(百万円)

  2024年
3月期末
2025年
3月期末
流動資産 13,588 12,411
固定資産 1,985 2,631
資産合計 15,574 15,042
流動負債 2,641 1,984
固定負債 41 42
負債合計 2,682 2,026
純資産合計 12,891 13,015
負債・純資産合計 15,574 15,042

「LSI開発販売関連」セグメントでは、スマートパチンコ機に係る規制緩和を背景に新機種の導入が進み、パチスロ機市場でも一定の需要が継続すると想定しています。こうしたなか、顧客ヒアリングをはじめとする詳細な市場分析を実施した結果、155万台の市場規模(2025年3月期153万台)を前提に業績予想を算定しました。グラフィックスLSIは、リユース率の上昇を見込み、2025年3月期比11万個減となる40万個とし、メモリモジュールもリユース率の上昇を見込み、同28万個減となる54万個の販売計画としました。「新規事業関連」セグメントは、主にAI領域における事業の伸長を見込み、2025年3月期を上回る販売計画としました。
これにより、売上高は同3,244百万円減の12,000百万円、営業利益は同461百万円減の1,000百万円、経常利益は同522百万円減の1,020百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同248百万円減となる730百万円の計画としました。配当につきましては株主還元方針(配当性向50%)に則り、1株当たり33円の計画としました。

2026年3月期の業績予想(百万円)

  2025年3月期 2026年3月期(計画) 増減率
売上高 15,244 12,000 △21%
売上原価 10,856 8,250 △24%
売上総利益 4,388 3,750 △15%
販売費及び一般管理費 2,926 2,750 △6%
営業利益 1,461 1,000 △32%
経常利益 1,542 1,020 △34%
親会社株主に帰属する
当期純利益
978 730 △25%

Column1剰余金の配当(増配)に関するお知らせ

  年間配当金(円)
第2四半期末 期末 合計
24年5月予想 0円 35円 35円
24年11月予想 0円 41円 41円
今回決定額 - 45円 45円
前期実績 0円 81円 81円

2025年3月期の期末予想として2024年11月に1株当たり41円と発表しましたが、確定した業績と当社の株主還元方針(配当性向50%)及び今後の事業展開等を総合的に勘案し、前回予想から4円増配となる1株当たり45円に上方修正しました。修正後の連結配当性向は50.4%になります。

Column2株主優待制度を導入しています

投資先としての魅力向上で知名度を高めるとともに、当社株式を長く保有してもらうことを目的として、株主優待制度を導入しています。具体的な株主優待の内容は以下のとおりです。保有株式数、継続保有期間に応じてクオカードを贈呈します。

保有
株式数
継続保有期間及び優待内容
1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
100株以上
500株未満
- クオカード500円
500株以上 - クオカード
500円
クオカード
3,000円
  • 毎年3月31日現在の株主名簿に記載又は記録された株主さまで、上記の継続保有期間及び保有株式数に該当する株主さまを対象とします。
  • 継続保有期間1年以上とは、毎年3月31日及び9月30日の当社株主名簿に同一の株主番号で、3回以上連続して記載又は記録された株主さまとします。
  • 継続保有期間5年以上とは、毎年3月31日及び9月30日の当社株主名簿に同一の株主番号で、11回以上連続して記載又は記録された株主さまとします。なお、保有株式数については、直近の基準日時点の保有株式数にて判定します。

「LSI開発販売関連」セグメントでは、市場構造の変化でパチンコ・パチスロ機市場へ新規参入する障壁が高くなったことにより、主要製品の市場シェアが55%~80%と高く競争優位性を確保している当社グループにとっては、常に年間150万台レベルで推移する安定市場です。この状況で、圧倒的な市場プレゼンスと顧客との強固な関係性、業界に特化した設計スキルと開発環境を有効に活用し、さらなる市場シェア向上を図ります。さらに、パチンコ・パチスロ機のハードウェア部材には未参入製品が残っており、成長の余地がある市場であると捉えております。「新規事業関連」セグメントでは、これまで培ってきた技術・開発力を成長分野であるAI領域へ積極的に投入します。この領域で当社グループの大きな強みになっている独自開発した「ailia SDK」は、あらゆる環境で高速の推論が可能なAI開発基盤(AIフレームワーク)であり、多様な顧客ニーズに対して柔軟に対応できます。こうした強みを生かし、当社グループでは2つの事業ドメインでAI事業を推進します。1つ目の「AIコンピューティング事業」では、「ailia SDK」を軸としたAI実装支援サービスを提供します。2つ目の「AIアプリケーション事業」では、「ailia DX Insight」などの自社製アプリケーションを活用し、AIアプリ開発支援サービスを実施します。また、短期的には開発支援で安定収益の確保に努め、長期的には自社製品開発でロイヤリティ収入の向上に注力することで、持続的な成長を目指してまいります。さらに、子会社のax株式会社を製品名と同じである「アイリア株式会社」へ社名変更することによる認知度向上や、組織体制の強化を通じて成長を促進してまいります。このほか、新規事業の加速に向けて、積極的な投資、出資、M&Aなども検討します。
当社グループでは、こうした取り組みを積極的に進め、株主の皆さまの期待に応えるよう努めてまいります。今後も引き続きのご支援を賜りますよう、お願い申しあげます。

事業の方向性/
グループ会社の社名変更

  • アクセルグループについて
  • AI事業を担うaxの社名を
    「アイリア」に変更

アクセルグループは、株式会社アクセルを筆頭に、AI事業を推進するax株式会社、パチンコ・パチスロ機市場向けにメモリビジネスを展開するaimRage株式会社の3社で構成しています。各社がそれぞれの事業領域で展開・蓄積した技術やノウハウをグループ全体で融合することにより、最先端の製品・サービスを開発・提供して「世の中の革新に貢献する先端テクノロジー企業」として成長し続けています。

アクセルグループ

図:Axellの出資先aXとaimRageの事業概要。aXはAI関連技術、aimRageはパチンコ向けメモリ開発を担当。

今後の事業の方向性

当社グループはこれまで、コア技術の開発と、そのコア技術を用いた事業を開発することを主軸としてきました。その成果として最初に展開したパチンコ・パチスロ機市場向けの製品開発は、顧客からの高い信頼を獲得しており、引き続き市場をリードする製品の提供に注力してまいります。また、持続的な成長を遂げるため、将来性の高い市場への進出が不可欠であると認識しています。特に、当社グループの社員スキルが高い親和性を持つ分野への新規事業を展開中であり、現在最も力を入れているのが近年成長著しいAI領域です。AI技術の開発やマーケティング、事業投資を積極的に推進し、この領域における確固たる地位を築いていくことを目指してまいります。

図:Axellのコア技術を中心に、aimRageによるパチスロ向け製品と、aXによるAI技術の展開を示す事業構造図。

AIブランドの統一で国内有数のAI事業者に

当社グループのAI事業の中核を担うax株式会社は、2025年7月1日より社名を「アイリア株式会社」へと変更することをお知らせいたします。製品名である<ailia>を社名にすることで、認知度の向上を目指します。一貫したAIブランドとして<ailia>の名を全面に打ち出すことで、AI分野における当社の地位を不動のものとし、国内トップクラスのAI事業者へと成長を加速させてまいります。

2つの事業でAIビジネスを推進

アイリア社は、2事業部制でビジネスを展開します。「AIコンピューティング事業」では、AI実装支援サービスとしてailia SDKをベースとしたAIフレームワーク開発等のサービスを提供します。「AIアプリケーション事業」では、AIアプリ開発支援サービスとしてailia DX Insight等を活用して業界に特化したAIシステム等の開発・開発支援を行います。

AIコンピューティング事業

AIフレームワーク開発等の
サービスを提供するailia SDKの提供

AIアプリケーション事業

業界特化AIシステム等の
開発・開発支援を行うDX Insightの提供

アイリア社の事業方針

自社製品開発と開発・実装支援のノウハウを循環

短期的には、自社製品開発で培ったノウハウを生かし、お客さまの開発支援に注力することで早期の黒字化にフォーカスします。長期的には、開発支援で得たノウハウを自社製品に還元して機能を高め、製品の導入・利用促進でロイヤリティ収入を向上させます。

図:自社製品開発と他社支援を相互に活用し、ストック収入とフロー収入を両立するビジネスモデル図。

ax株式会社新社長メッセージ

写真:ax株式会社 代表取締役社長 兼 CTO 株式会社アクセル 常務取締役CTO アルゴリズムチーム管掌 客野 一樹

ax株式会社 代表取締役社長 兼 CTO
株式会社アクセル 常務取締役CTO アルゴリズムチーム管掌客野 一樹

経歴

2006年4月
株式会社アクセル入社
2014年4月
筑波大学客員准教授(現任)
2018年6月
株式会社アクセル取締役新規事業推進担当
ゼネラルマネージャー就任
2019年5月
ax株式会社取締役就任
2022年6月
株式会社アクセル常務取締役
事業開発グループゼネラルマネージャー
技術グループアルゴリズムチーム管掌就任
2024年4月
株式会社アクセル常務取締役CTO
技術グループアルゴリズムチーム管掌就任(現任)
2025年4月
ax株式会社代表取締役社長 兼 CTO就任(現任)

※ 7/1にアイリアへ変更

「エッジAIといえばアイリア」という世界観を創造

私はアクセルで2017年からAI関連の開発に携わり、その後グループ全体のAI事業をリードしてきました。この経験を生かして、アイリア社でも引き続きAIの加速する変革スピードへ対応するとともに、社長として経営の若返りを担い、組織化と実務面の緻密化を推進します。さらに、会長職を担う寺田、AIに最適な営業体制を構築するためにCS部門の本部長に就任した岸本、そして社内の全社員と協力し、今まで以上のスピード感でアイリアの認知度を高めて「エッジAIといえばアイリア」という世界観を業界に創り上げます。

事業の方向性/
特集 事業トピックス

  • セキュリティを重視する業界・企業に向けて
    「ailia DX Enterprise」を開発
  • AIリアルイベント
    「AI博覧会 Osaka 2025」に出展
  • NEWS

AIビジネスの拡大に向けて、オンプレミスの環境でailia DX Insightの機能が利用できるアプリケーション「ailia DX Enterprise」を開発しました。この新アプリは、オンプレミスのサーバにLLMとデータベースを置き、クライアントPCからブラウザで利用します。最大の特長は、オンプレミスで稼働させるため、求めるセキュリティを確保した環境でAIが活用できることです。また、サーバで処理することからLLMが大規模でも推論が高速・高精度で、業務効率の向上に貢献。利用者を社内に限定できることから、一貫した企業ポリシーに基づいてAIが活用できます。ailia DX Enterpriseを利用すれば、機密データからの情報抽出や検索、未公開情報の解析も可能です。こうした特長から当社では、セキュリティを確保してAIを活用したい業界・企業へ積極的にアプローチし、拡販に努めます。

一般的な環境の場合

外部のサーバにアクセス

図:社内外のユーザーがクラウドLLMや社外サーバーと通信する構成図
  • 読み込まれるのはインターネット上にある情報のみ
  • 自社製品や未公開情報の検索ができない
  • 個人情報などの機密情報を取り扱うことができない

ailia DX Enterpriseの場合

完全にオンプレミス
エンタープライズ企業に対応

図:社内サーバに導入されたローカルLLMを複数の社内ユーザーが利用する構成図
  • 社内サーバで完結する安全なセキュリティ
  • 製品仕様書を読み込ませて、FAQをAIで自動作成
  • 個人情報を含むデータからの情報抽出や、未公開情報の解析などが可能
  • 個人PCの容量やスペックに左右されずに使用することが可能

AI博覧会は、国内のAI関係者向けに展示や講演などを行うイベントです。当社グループは第2回に引き続き、第3回として2025年1月22・23日に開催された「AI博覧会 Osaka 2025」にも出展しました。今回はDXアプリの展示をはじめ、エッジAIの導入を検討する企業向けに、ソリューションの実演などを行いました。その中で注目されたのが、喋るクマのぬいぐるみを利用した「ailia AI Voice/Speech」のデモです。人がクマに質問すると、その内容をリアルタイム音声認識機能でテキスト化してChatGPTに送り、テキストで返ってきた回答をお喋りします。この会話が自然で可愛いことが話題となり、新聞にも取り上げられました。また、1月23日には、ax株式会社の寺田社長(2025年4月1日で会長に就任)が、株式会社GAUSSの宇都宮綱紀氏と「人手不足改善&事故ゼロ。工場や建設向け最新エッジAI事情」と題したカンファレンスを行いました。ぬいぐるみは、その他のオリジナルキャラクターに変更することもでき、制作事例としてailiaブランドのキャラクターである「あいにゃん」のぬいぐるみにAI機能を搭載するデモを進めております。

図:音声で質問・回答を行うAI Voice/SpeechとLLMの連携による業務支援のイメージ図

技術パートナーとして協賛する「大阪・関西万博」が開幕

2025年4月13日、「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」が開幕しました。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに8人のプロデューサーが主導したシグネチャーパビリオンの中で、落合陽一氏によって生み出されたパビリオンが「null2(ヌルヌル)」です。「いのちを磨く」をテーマ事業に掲げ、「人工知能と人間が手を取り合い、新しい自然の中で生きる」といった想いが込められたこのパビリオンに、当社グループは技術パートナーとして協賛し、最先端のAI技術を提供しています。大阪・関西万博は、2025年10月13日まで開催されています。ぜひ足を運び、このパビリオンでしか味わえない体験を楽しんでください。

写真:「大阪・関西万博」の様子 写真:「大阪・関西万博」の様子