CEO Message
2024年6月更新
平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申しあげます。当期はパチンコ・パチスロ機市場において次世代遊技機が市場投入され、市場環境は底堅く推移しました。このような環境の中、LSI開発販売セグメントでは、パチンコ・パチスロ機向けグラフィックスLSIの販売数が増加し、さらに高単価メモリ製品の販売比率が拡大した結果、増収増益を達成することができました。新規事業関連セグメントでは、組み込み機器向けやAI支援サービスを中心に前期比で増収となりました。来期は、パチンコ・パチスロ機市場で市場規模の縮小が予想されますが、引き続き安定収益の確保に向けた取り組みを強化していくとともに、AI領域において成長を加速させるための施策を積極的に検討していきます。株主の皆さまにはこうした状況をご理解いただき、引き続きのご支援をお願い申しあげます。
業績のご報告
- 当期の連結業績について
- 来期の見通しについて
- 今後の成長戦略について
「LSI開発販売関連」セグメントの主力市場であるパチンコ・パチスロ機市場は、次世代遊技機の投入で底堅く推移し、年間の新台販売は161万台(前期158万台)と推計しています。こうした中、主力のグラフィックスLSIの販売数は64万個(同51万個)に増加し、メモリモジュールの販売数は前期を下回ったものの、メモリ容量の大きい高単価製品の販売比率が高まりました。これにより、セグメント売上高は前期比3,085百万円増の16,937百万円、セグメント利益は同903百万円増の3,688百万円となりました。「新規事業関連」セグメントでは、組み込み機器向けやAI支援サービスを中心に、セグメント売上高は同10百万円増の632百万円、セグメント損失は同24百万円減となる381百万円となりました。また、各セグメントに配分しない全社費用は880百万円となりました。
以上により、売上高は同3,095百万円増(同21.4%増)の17,570百万円、売上総利益は同1,051百万円増の5,597百万円で、増収増益となりました。販売費及び一般管理費は、同239百万円増(同8.2%増)の3,171百万円となりました。主な増加要因は、業績連動賞与等に伴う人件費の増加に加え、AI領域の認知度を高めるために実施した広告宣伝活動によるものです。また、研究開発費は同26百万円増(同1.7%増)の1,579百万円となりました。
以上により、営業利益は同811百万円増(同50.3%増)の2,426百万円、経常利益は同636百万円増(同35.1%増)の2,449百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同417百万円増の1,771百万円となりました。期末配当につきましては、確定した業績と株主還元方針等を勘案し、1株当たり81円とさせていただきました。財政状況は、流動資産13,588百万円、うち現金及び預金8,316百万円、自己資本比率81.9%で、引き続き高い健全性を維持しています。した。期末配当につきましては、確定した業績と株主還元方針等を勘案し、1株当たり81円とさせていただきました。財政状況は、流動資産13,588百万円、うち現金及び預金8,316百万円、自己資本比率81.9%で、引き続き高い健全性を維持しています。
損益計算書(要約)(百万円)
第28期 | 第29期 | 増減率 | |
---|---|---|---|
売上高 | 14,474 | 17,570 | 21% |
売上原価 | 9,928 | 11,972 | 21% |
売上総利益 | 4,546 | 5,597 | 23% |
販売費及び一般管理費 | 2,931 | 3,171 | 8% |
営業利益 | 1,614 | 2,426 | 50% |
経常利益 | 1,813 | 2,449 | 35% |
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
1,353 | 1,771 | 31% |
貸借対照表(要約)(百万円)
第28期末 | 第29期末 | |
---|---|---|
流動資産 | 12,798 | 13,588 |
固定資産 | 1,084 | 1,985 |
資産合計 | 13,883 | 15,574 |
流動負債 | 2,145 | 2,641 |
固定負債 | 42 | 41 |
負債合計 | 2,187 | 2,682 |
純資産合計 | 11,695 | 12,891 |
負債・純資産合計 | 13,883 | 15,574 |
「LSI開発販売関連」セグメントは、パチンコ・パチスロ機市場でスマートスロットの堅調な販売が見込まれる一方、パチンコホールの新紙幣への対応の影響から新台への投資意欲が低下すること等を見込み、市場規模を140万台(2024年3月期:161万台)と推定し業績予想を策定しました。グラフィックスLSIは、リユース率の上昇から47万個(同64万個)、メモリモジュールもリユース率の上昇を見込み71万個(同99万個)の販売計画としました。「新規事業関連」セグメントでは、AI製品の伸長を見込み、2024年3月期を上回る販売計画としました。以上から、売上高は2024年3月期比4,270百万円減の13,300百万円、売上総利益は同1,547百万円減の4,050百万円、売上総利益率は同1.4ポイント悪化となる30.5%の見通しです。これは製品ミックスや為替の影響、主力製品の仕入単価上昇等が主な要因です。
販売費及び一般管理費は、業績連動賞与の減少と、広告宣伝活動の縮小を見込み、同221百万円減の2,950百万円を計画しました。
以上により、営業利益は同1,326百万円減の1,100百万円、経常利益は同1,349百万円減の1,100百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同1,001百万円減となる770百万円の計画としました。配当につきましては株主還元方針に則り、1株当たり35円の計画としました。
第30期の業績予想(百万円)
第28期 | 第30期(計画) | 増減率 | |
---|---|---|---|
売上高 | 17,570 | 13,330 | △24% |
売上原価 | 11,972 | 9,250 | △23% |
売上総利益 | 5,597 | 4,050 | △28% |
販売費及び一般管理費 | 3,171 | 2,950 | △7% |
営業利益 | 2,426 | 1,100 | △55% |
経常利益 | 2,449 | 1,100 | △55% |
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
1,771 | 770 | △57% |
剰余金の配当(増配)に関するお知らせ
年間配当金(円) | |||
---|---|---|---|
第2四半期末 | 期末 | 合計 | |
23年5月予想 | 0円 | 51円 | 51円 |
23年11月予想 | 0円 | 72円 | 72円 |
今回決定額 | - | 81円 | 81円 |
前期実績 | 0円 | 78円 (普通配当62円) (記念配当16円) |
78円 (普通配当62円) (記念配当16円) |
今期の期末予想として2023年11月に1株当たり72円と発表しましたが、確定した業績と当社の株主還元方針(配当性向50%)及び今後の事業展開等を総合的に勘案し、9円増配となる1株当たり81円に上方修正しました。修正後の連結配当性向は49.9%になります。
株主優待制度を導入しています
投資先としての魅力向上で知名度を高めるとともに、当社株式を長く保有してもらうことを目的として、株主優待制度を導入しています。具体的な株主優待の内容は以下のとおりです。保有株式数、継続保有期間に応じてクオカードを贈呈します。
保有 株式数 |
継続保有期間及び優待内容 | ||
---|---|---|---|
1年未満 | 1年以上 5年未満 |
5年以上 | |
100株以上 500株未満 |
- | クオカード500円 | |
500株以上 | - | クオカード 500円 |
クオカード 3,000円 |
- 毎年3月31日現在の株主名簿に記載又は記録された株主さまで、上記の継続保有期間及び保有株式数に該当する株主さまを対象とします。
- 継続保有期間1年以上とは、毎年3月31日及び9月30日の当社株主名簿に同一の株主番号で、3回以上連続して記載又は記録された株主さまとします。
- 継続保有期間5年以上とは、毎年3月31日及び9月30日の当社株主名簿に同一の株主番号で、11回以上連続して記載又は記録された株主さまとします。なお、保有株式数については、直近の基準日時点の保有株式数にて判定します。
「LSI開発販売関連」セグメントでは、引き続き業界に特化した製品開発力やノウハウ、さらには顧客との緊密性を生かし安定収益の確保に努めます。「新規事業関連」セグメントでは、AI領域を中心に事業を推進するとともに、潜在的な市場性を評価しながらWeb3領域でも積極的な事業展開を模索していきます。
AI領域では、独自開発の「ailia SDK」と「ailia DX Insight」を中核にAIビジネスを展開します。「ailia SDK」はクロスプラットフォームを実現しており、さまざまなOSやデバイス上でAIを簡単に動かすことが可能です。その特徴を生かし、ハードウェアメーカーとも連携しながら、組み込み機器向けにロイヤリティビジネスを拡大します。また、完成した自社製品「ailia DX Insight」は、さまざまな業務を支援するDXアプリで、AIを簡単にセキュアな環境で利用できることが大きな特徴です。AI領域では、このようにロイヤリティビジネスの拡大と自社製品の積極展開を両軸に、成長を加速させていきます。
Web3領域は、2030年に向け年平均で43.7%の成長が見込まれる有望市場です。当社グループは、Web3領域の潜在的な市場性を評価し、将来の成長に向けて積極的な取り組みを検討しています。2024年3月期においては、デジタルコンテンツの配信プラットフォームを提供する株式会社&DC3と協業を開始し、アクセルの持つWeb3と暗号技術を共有することで、より堅牢なコンテンツ流通基盤ソリューションの実現に取り組んでいます。
このような積極的な事業推進により、今後も株主の皆さまの期待に応えられるよう努めていきます。今後もご支援を賜りますよう、お願い申しあげます。
事業の方向性/トピックス
- アクセルグループについて
- TOPICS
アクセルグループは、AI事業を推進するax株式会社、パチンコ・パチスロ機市場向けにメモリビジネスを展開するaimRage株式会社を含む3社で構成されています。各社がそれぞれの事業展開で蓄積した技術やノウハウをグループ全体で融合することで、最先端の製品・サービスを開発・提供し「世の中の革新に貢献する先端テクノロジー企業」として成長し続けます。
今後の事業の方向性
当社はこれまで、コア技術の開発と、そのコア技術を事業化することを主軸としてきました。その事業化の第一弾が、パチンコ・パチスロ機市場に向けた製品開発です。この市場に向けて当社が提供する製品は、現在もお客さまから高い信頼を得ており今後も維持・拡大してまいります。一方、パチンコ・パチスロ機市場は国内に限定されることもあり、当社が持続的に成長していくためには、他の市場へ進出していくことも必要不可欠です。その中で、特に注力しているのがAI領域とWeb3領域です。これらの分野において、積極的な事業化を目指しており、新たな成長の機会を模索しています。
スタートアップ支援新プログラム
「AIの力で、世の中をもっと良くしたい」そのような想いを抱くスタートアップ企業のビジネス構想を、実際に事業化・具現化するための共創パートナーシップ・プログラムです。今後、さまざまなAIアプリの爆発的増加が見込まれる一方、AIの開発環境はデバイス間での断片化等により困難が増しています。ailia SDKは、多種多様なニーズに対応できる開発プラットフォームとしての特徴を生かし、スタートアップ企業のAIアプリの開発を効率化します。世界で最も速く動作し、最も容易にAIをエッジデバイスへ実装できることをコンセプトにしたailia SDKを、イノベーションを起こす夢がある企業への支援として積極的に活用します。技術と情熱を持つスタートアップ企業と圧倒的なアクセラレータを組み合わせれば、これまで実現できなかった多くのアイデアが実現できると考えています。
「ailia SDK」を初期費用ゼロで提供
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成功に応じたフィー体系
リスクフリーで取り組めるailia SDKフィーの対象は開発アプリの売上高。売上発生までは無償。
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活用のコンサルティングも
ノウハウ提供も無償開発伴走型で支援。
適切なタイミングで必要な技術や情報を提供。
アクセルならではの全面支援
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資金面からの開発支援も
出資を通じて対応開発や事業化に向けた資金調達が必要な場合はJ-KISSなどで要望に対応。
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事業化の支援に向けて
axの開発参加もaxが開発を受託し、企業リソースを事業化に集中する環境創出の支援も可能。
スタートアップ支援第1弾
AI音声変換を手がけるParakeetと業務提携
スタートアップ支援プログラムを活用し、AI音声変換を手掛ける東京大学発AIベンチャーのParakeet株式会社とax株式会社が業務提携をしました。この業務提携において、Parakeet社が提供する音声変換アプリにailia SDKが採用され、ax社はエッジデバイスへAIを実装する技術ノウハウを提供。Parakeet社のAI音声変換技術と組み合わせることで、モデルやアプリケーションなど幅広い開発を推進。AI音声分野で複数のプロダクトを提供することを目指します。本プログラムは第1弾として実施しましたが、引き続きこのような優れた技術力を持つスタートアップ企業への支援を推進していきます。
Parakeet株式会社について
東大発の音声AIに特化した研究者集団で、音声合成技術を中心としたAI受託開発、事業開発支援などの事業を展開しています。Parakeet社が掲げるミッションは<2030年までに、「世界で最も傑出した音声合成技術を持つ会社」という評価を確立する>提供する音声変換アプリ「Parakeet.VC」はエッジデバイス上でリアルタイムに特定の人物の声を他の人物の声に変換することが可能。デジタル時代における個人の表現とコミュニケーションに無限の可能性を提供します。
特集
AI領域への取り組みについて
- What’s「ailia DX Insight」
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AIビジネスのロイヤリティ
拡大へ向けた取り組み
さまざまな業務サポートAIが利用できるDXアプリ「ailia DX Insight」
生成AIの登場により、AIを利用して業務効率化を進める動きが加速しています。特にOpenAI社の「ChatGPT」をいかに業務へ活用しDX化を進めるか、多くの企業が積極的に検討を進めています。すでにAIは業務DX化の流れの中で無くてはならない存在になってきていますが、この流れの中で開発された「ailia DX Insight」は、さまざまな業務を多角的にサポートすることが可能なAIをパッケージ化したDXアプリです。特徴として、誰でも簡単にセキュアな環境でAIの業務活用が可能です。また、通常のChatGPTの機能にailia独自の機能である音声認識や画像認識機能などをプラスしました。高精度な音声認識による議事録作成、テキストからの画像検索、OCRなど、便利なAI機能も複数搭載。今後もさまざまな機能を追加していく予定です。ailia DX Insightは、幅広いカテゴリの業種において、スマートかつ効果的にDXを加速させることができます。
■ オフライン動作が可能
■ 企業で最優先のセキュリティ問題を解決
ChatGPTを業務利用する場合にセキュリティに対する課題がありました。これは、ChatGPTなどの生成AIはオンラインでの利用が想定されているため、セキュリティの観点から情報漏洩を意識して業務上での積極的活用を躊躇するという課題です。「ailia DX Insight」は企業内の文章はオフラインで情報処理し、検索で見つかった一部の文章だけをサーバにアップロードすることで、この問題を解決。さらに、より高いレベルのセキュリティが要求される用途向けには、ChatGPTではなくローカルLLMを使用する機能も搭載。完全にセキュアな環境での構築を可能としました。
用途例
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Q&A
製品の仕様書を読み込ませ、ユーザの質問に回答可能です。コールセンターなどでの業務を加速させます。
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議事録
議事録を入力して要約することが可能です。
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調査
英語の論文を大量に読み込ませ、論文の内容に質問可能です。
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翻訳
日本語や英語の文章を相互翻訳可能です。海外へのメール作成などに便利です。
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アイデア出し
特定のテーマに対してChatGPTにアイディア出しさせることが可能です。
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スクリプト生成
テキストから、マクロやスクリプトをChatGPTで生成することができます。
「ailia SDK」を組み込み機器向けへ
積極展開
AIビジネスの中核技術である「ailia SDK」。ハードウェアメーカーと連携し組み込み機器向けに積極展開することで、ロイヤリティビジネスの拡大を推進します。ailia SDKはwindowsやMac、Android、Linux等の多様なプラットフォーム上で動作し、容易に組み込み機器にAIを実装することが可能です。他社製AIチップに搭載されたAIフレームワークでは最新のAIモデルが実用レベルで動かないという課題がありましたが、ailia SDKを活用することで、最新モデルを含む300種類以上のAIモデルをさまざまなシーンで活用できるようになります。その他の展開として、産業用PC上にailia SDKをプレインストールすることで、利用者の無駄な環境構築を省略しすぐに利用をはじめられるなど利便性を向上。こちらはすでにNVIDIA社やINTEL社などのチップが搭載された産業用PC上での動作確認が完了しています。このように組み込み機器向けへailia SDKの幅広い展開を通してロイヤリティビジネスを推進していきます。
他社製AIチップ上で
ailia SDK/AIモデルが動作
- ailia SDKを使用することで最新モデル含めた300を超えるAIモデルがすぐに活用可能に
- AIモデルは豊富なモデルライブラリを準備しており、そこから使いたいAIを選ぶだけで使用可能
用途例
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産業機器(FA機器)
- 自動化、生産性向上、品質向上システムなど
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車載(ADAS、DMS)
- 自動運転、危険運転・事故防止システムなど
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民生機器(監視カメラ、家電)
- 画像認識、音声認識・処理システムなど
ailia Ready!
ー産業用PCへのailia SDKの搭載
- 産業用PCへのailia SDKのプレインストール
- 環境構築の手間がかからず利用可能
動作確認済のシステム
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NVIDIA
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INTEL
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組込みSoC