
CEO Message
2024年12月更新
平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申しあげます。当中間期は、底堅く推移してきたパチスロ機市場に減速感が見られる一方で、導入が始まっている新しいゲーム性を備えたパチンコ機が注目され、今後のパチンコ機市場を後押しすることが期待されています。このような環境下、当社グループは、パチンコ・パチスロ機市場での安定した収益確保に向けた取り組みによってグラフィックスLSIやメモリモジュール製品等の主力製品の販売が好調に推移し、当初計画を上回る業績をあげることができました。さらに、AI領域を中心とする新規事業においても、規模拡大に向けた取り組みを積極的に進めました。通期に向けては、足元の業績動向等を鑑み、業績予想の上方修正を行いました。今後も当社グループは、事業推進のための積極的な取り組みを進めていきます。株主の皆さまには引き続きのご理解とご支援を賜りますよう、お願い申しあげます。
業績のご報告
- 当中間期の業績について
- 通期の連結業績について
- 今後の成長戦略について
「LSI開発販売関連」セグメントは、売上高が前年同中間期比11.6%減の7,921百万円(同1,041百万円減)、セグメント利益は同25.5%減の1,540百万円(同528百万円減)となりました。これは、市場環境の影響を受け、主力製品のパチンコ・パチスロ機向けグラフィックスLSIの販売が前年同中間期より7万個減の29万個であったことに加えて、メモリモジュールの販売も前年同中間期を下回ったことによるものです。
「新規事業関連」セグメントでは、AI領域を中心とした規模の拡大、組み込み機器向け製品に向けたグラフィックスLSIの販売拡大に努めましたが、売上高は前年同中間期比16.3%減の221百万円(同42百万円減)、セグメント損失は同57百万円増の262百万円(前年同中間期は204百万円の損失)となりました。
以上の結果、当中間期は売上高が8,142百万円、売上総利益は2,326百万円となりました。販売費及び一般管理費は1,389百万円、うち研究開発費は697百万円となりました。これにより、営業利益は前年同中間期比36.5%減の937百万円(同538百万円減)、経常利益は同32.5%減の995百万円(同478百万円減)、親会社株主に帰属する中間純利益は同34.2%減の692百万円(同360百万円減)となりました。
なお、当中間期末の財政状況につきましては、流動資産12,382百万円、うち現金及び預金は5,982百万円、自己資本比率は83.6%で、引き続き高い健全性を維持しています。
第30期中間期の連結業績結果(百万円)
前中間期実績 | 当中間期実績 | 増減率 | |
---|---|---|---|
売上高 | 9,226 | 8,142 | △12% |
売上原価 | 6,231 | 5,815 | △7% |
売上総利益 | 2,995 | 2,326 | △22% |
販売費及び一般管理費 | 1,518 | 1,389 | △9% |
営業利益 | 1,476 | 937 | △36% |
経常利益 | 1,474 | 995 | △32% |
親会社株主に帰属する 中間純利益 |
1,053 | 692 | △34% |
当期の連結業績につきましては、2024年5月9日に業績計画を公表しましたが、その後の業績動向を踏まえて2024年11月6日に上方修正を行い、売上高は15,140百万円(計画比13.8%増)、営業利益は1,420百万円(同29.1%増)、経常利益は1,480百万円(同34.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は900百万円(同16.9%増)にそれぞれ修正しました。
修正の主な要因となっているのは、現在までの受注状況や顧客の需要動向を精査した結果、当初47万個を見込んでいたパチンコ・パチスロ機向けグラフィックスLSIの販売が約53万個まで拡大する見通しになったことに加え、メモリモジュールなどの製品も当初計画を上回る販売見通しとなったことによるものです。これは、主力市場であるパチンコ・パチスロ機の新台年間販売台数の見通し自体については変更がないものの、当社製グラフィックスLSIを採用する顧客の需要動向が好調で、販売が計画を上回る水準で推移していることが大きな要因となっています。さらにもう一つの要素になっているのが、メモリモジュールのリユース比率が当初の見込みより低下しており、販売個数が増加する見通しとなったことです。
当期末の配当につきましては、業績計画の修正に伴い、当社の株主還元方針(配当性向50%)を踏まえて1株当たり普通配当41円(当初計画35円)へ上方修正しました。
通期連結業績計画(百万円)
前期実績 | 当期通期 計画 (上方修正後) |
増減率 | |
---|---|---|---|
売上高 | 17,570 | 15,140 | △14% |
売上原価 | 11,972 | 10,720 | △10% |
売上総利益 | 5,597 | 4,420 | △21% |
販売費及び一般管理費 | 3,171 | 3,000 | △5% |
営業利益 | 2,426 | 1,420 | △41% |
経常利益 | 2,449 | 1,480 | △40% |
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
1,771 | 900 | △49% |
通期連結業績計画に対する中間期の進捗(百万円)
当中間期 実績 |
当期通期 計画 |
進捗率 | |
---|---|---|---|
売上高 | 8,142 | 15,140 | 54% |
売上原価 | 5,815 | 10,720 | 54% |
売上総利益 | 2,326 | 4,420 | 53% |
販売費及び一般管理費 | 1,389 | 3,000 | 46% |
営業利益 | 937 | 1,420 | 66% |
経常利益 | 995 | 1,480 | 67% |
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
692 | 900 | 77% |
配当予想の上方修正をお知らせします
年間配当金(円) | |||
---|---|---|---|
第2四半期末 | 期末 | 合計 | |
前回予想 | 0円 | 35円 | 35円 |
今回発表予想 | - | 41円 | 41円 |
当期実績 | 0円 | - | - |
前期実績 | 0円 | 81円 | 81円 |
業績計画の修正に伴い、配当性向50%の株主還元方針にもとづいて配当予想を修正しました。修正後の普通配当における連結配当性向は49.9%になります。
株主優待制度を導入しています
投資先としての魅力向上で知名度を高めるとともに、当社株式を長く保有してもらうことを目的として、株主優待制度を導入しています。具体的な株主優待の内容は以下のとおりです。保有株式数、継続保有期間に応じてクオカードを贈呈します。
保有 株式数 |
継続保有期間及び優待内容 | ||
---|---|---|---|
1年未満 | 1年以上 5年未満 |
5年以上 | |
100株以上 500株未満 |
- | クオカード500円 | |
500株以上 | - | クオカード 500円 |
クオカード 3,000円 |
- 毎年3月31日現在の株主名簿に記載又は記録された株主さまで、上記の継続保有期間及び保有株式数に該当する株主さまを対象とします。
- 継続保有期間1年以上とは、毎年3月31日及び9月30日の当社株主名簿に同一の株主番号で、3回以上連続して記載又は記録された株主さまとします。
- 継続保有期間5年以上とは、毎年3月31日及び9月30日の当社株主名簿に同一の株主番号で、11回以上連続して記載又は記録された株主さまとします。なお、保有株式数については、直近の基準日時点の保有株式数にて判定します。
「LSI開発販売関連」セグメントでは、主力市場であるパチンコ・パチスロ機市場の動向を的確に捉え、顧客との間で築いた信頼関係と当社独自の技術力を最大限に生かし、ニーズに合った製品開発を行うことで、安定的な収益基盤の強化に努めます。
「新規事業関連」セグメントでは、AI領域を中心に事業の拡大を進めていきます。中でも取り組みを強化していくのが、「ailia SDK」「ailia DX Insight」といった独自開発のAIソリューションです。当中間期も、こうした独自のAIソリューションが先進AIの活用によるビジネス強化を目指す企業各社に採用されるなど、着実に成果をあげ始めています。さらに、AI関連ビジネスショーへの出展や講演、学生を対象としたAIコンテストの開催など、今後もAI領域の事業を拡大する基盤づくりにつながる幅広い活動を積極的に展開していきます。また、Web3領域では、市場規模の大幅な拡大が見込まれるため、市場動向を注視しつつ、引き続き研究開発に注力していきます。このほか、新規事業の展開を加速させる観点から、アライアンスや出資の検討等を積極的に実施していきます。
こうした各種の取り組みにより、当社グループは今後も株主の皆さまの期待に応えられるよう努めていきます。引き続きのご支援を賜りますよう、お願い申しあげます。
新規事業トピックス
- AI事業の活動進捗
- 次世代支援
ラキール社に先進AI Chatbot
「ailia DX Chatbot」を提供
企業DXを支援する株式会社ラキールに、アクセルが独自開発した「ailia DX Chatbot」を提供しました。この新技術は、アクセルが提供するAIフレームワーク「ailia SDK」を基盤に、独自開発のRAG※エンジンや生成AIを活用したAIチャットボットシステムで、「機密情報を安全に扱える高セキュリティ」「openAI社等へのAI使用料を抑えるコスト効率」「高精度な回答生成」「オープンソースソフトウェアに依存しない安定運用」といった特長を実現。同社の企業向けアプリケーション開発運用基盤「LaKeel DX」に組み込まれて、業務効率化や生産性向上などに貢献します。アクセルは、これを契機に多様な業界にAI技術を提供し、企業DXの支援に努めていきます。
Retrieval-Augmented Generation:生成AIが外部情報を検索・利用し、自社データを用いた高精度な回答を生成する技術。
これにより、AIの回答精度が向上し、誤情報の生成を抑制。

ケル社が開発するコネクタ用外観検査機に先進AI機能を実装
ケル株式会社が新たに開発するコネクタ用外観検査機に、不良品検知用の最先端AI機能を実装しました。従来の外観検査は目視に頼っており、検査員による精度のばらつきや優秀な人材の育成・確保などが課題になっていました。今回開発した外観AI検査機は、アクセルのAI技術とケル社の外観検査ノウハウの融合により、安定した検査精度と高度な不具合検知を実現。従来は検出できなかった不良品の検知も可能にしました。さらに、先進のAI技術で高い検知機能を少ない学習データで実現できるため、導入後すぐに高パフォーマンスで運用できます。今後もアクセルは、先進のAI技術により、製造業の生産性向上と品質管理の強化をサポートしていきます。
■ AI不良品検知技術の一例

「ailia DX Insight」がエルザジャパン社のモバイル機器に採用され、
国内販路も拡大
「ailia DX Insight」は、アクセルとグループ会社のaxが開発した企業DXを支援するAIアプリです。最大の特長は高度なセキュリティ機能で、完全に閉じたローカル環境でAIが活用できます。このAIアプリが、NVIDIA RTX 5000 Ada世代のGPUを搭載し、高度なAI処理を実現する株式会社エルザジャパンのモバイルワークステーションにプリインストールされました。これにより、医療機関や製造業など高いセキュリティ要件を持つ企業では、同社機器の導入ですぐにセキュアな環境でAIが活用できることから機器購入が進み、ailia DX Insightの普及も大きく前進することが期待されます。さらに、当社グループの代理店である株式会社アスクと岡谷エレクトロニクス株式会社の販売網を活用したailia DX Insightの販売も強化。こうした施策により、ailia DX Insightの法人普及を推進します。

AI超解像モデルの開発に挑戦する
AIコンテスト
「Axell AI Contest 2024」開催
アクセルと筑波大学、キャンパスOJT型産学連携教育推進財団の共同で、昨年から開催している「Axell AI Contest」。これは、AIの活用推進と人材育成支援を目的とした学生向けAI技術の実践コンテストです。昨年は「推論の高速化」をテーマに、筑波大学で開催。今年は「AI超解像モデルの開発」をテーマとして、対象を全国の学生(高校~大学院)に拡大し、日本最大のAI/データ分析に関するコンペティションプラットフォーム「SIGNATE」で開催しました。超解像技術はAIの技術革新が進み、エンタメ業界や衛星写真、医療用画像など、多くの分野で採用されています。この領域で活用できる学習モデルの開発に、266名が参加。その中で「効率的な演算」と「高精細な超解像処理」を実現した上位30チームを表彰の上、懇親会を開催し、有望な学生との親睦を深めました。

