特集:アクセルグループの価値創造の源泉

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価値創造を支える当社グループの経営基盤

独自の研究開発力・総合的な開発力を生かした事業展開

重要な資産である人、資金といった経営資源を研究・製品開発に集中することで、最先端の要素技術を徹底的に研究し、それらをハードウェア化・ソフトウェア化した高付加価値製品を生み出します。
この研究開発力を背景として、長年遊技機市場において、常に次世代製品を見据え、遊技機特化型製品を提供するとともに、安心して採用してもらえるサポート体制にも力を入れ、顧客との盤石な信頼関係を構築してきました。
現在は、これら既存事業で培った強み・特長をこれからの時代に求められる新規事業4領域(機械学習/AI、ブロックチェーン、セキュリティ、ミドルウェア)へ積極展開し、事業の拡大を図っています。
また、この総合的な開発力を、事業活動を通じて様々な領域で生かすことで、環境問題を含めた社会課題の解決に取り組んでいます。

アクセルが提供するLSI

遊技機市場では、大容量のコンテンツ(映像・音・光など)を一層充実させたいというニーズがあります。一方で、それを短い開発期間の中で、低コストで実現できる開発環境が求められています。また、環境配慮を目的に、構成部品の再使用(リユース)も積極的に行われています。

■AGシリーズについて

遊技機向けLSIのAGシリーズは、性能向上とシステムコスト低減を両立させるグラフィックスLSIであり、遊技機器メーカー各社から高い評価を得てきました。近年は環境に配慮した製品開発が求められており、当社AGシリーズは技術的な側面からこれらの要求に応えることで、サステナブルな社会の実現に貢献しています。

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■リユース(再使用)について

リユースが注目され始めたのは、遊技機器の廃棄などに対する環境配慮の観点からでした。当初は、回収・分解・開発・納品の仕組みづくりの難しさやコスト負担などの問題もあり、なかなか普及しませんでしたが、近年では環境配慮の観点に加え、景気低迷などの影響から遊技機器の低価格化のニーズが高まり、遊技機器メーカーにおける環境対応・コスト低減策の一つとして、リユースが利用されています。このことにより、製品採用時にはリユースのしやすさについても、重要な差別化要素になってきています。

<当社グループのリユースへの対応>

顧客がリユースしやすいプラットフォームを構築・提供することで、顧客ニーズでもあるコスト削減や環境負荷軽減等に貢献します。
リユースは、部品等が再利用され新規製品の需要が減少するため、短期的にはデメリットとも考えられます。一方で、継続的に当社製品を使用してもらいやすくなると同時に環境負荷軽減にもつながるため、サステナブルな社会への貢献と、企業としての成長を実現し長期的には利益があるものと考えています。

ここからは、具体的に当社が開発・提供する製品の特長や差別化要因、環境への対応等に関して概要をご説明します。

当社製品の3つの強み・差別化要因

1. 圧縮伸長技術

独自技術のアルゴリズムを用いており、遊技機器で求められる多彩な映像表現を実現するとともに、映像コンテンツを格納するためのメモリ搭載量の削減を可能とします。

<環境への影響・期待>

格納する映像コンテンツ容量を同じと仮定した場合、高い圧縮率の実現は、コンテンツを格納するためのメモリ搭載量の削減につながり、遊技機の生産コスト削減等が期待できます。
また、ROM容量は常に有限であり、その容量内にコンテンツを収めるための調整作業は膨大な量となります。圧縮率が上がるほど、この調整作業は低減されるので、作業にかかるエネルギー削減、ひいては遊技機の生産コスト削減が期待されます。

2. LSIの低消費電力化

社内のアルゴリズムエンジニアとLSIエンジニアが緊密に連携して開発を行い、双方向からの徹底したアプローチにより、様々な場面で低消費電力化を実現しています。また、長年の実績により製造委託先のファブからの信用度も高く、性能と電力に最適なLSI製造プロセスが選択できるように緊密に連携しています。

<環境への影響・期待>
  • LSIの低消費電力化により、電力使用量削減によるCO₂排出量の削減効果が期待できます。パチンコ・パチスロ機1台当たりで換算すると削減効果は少ないですが、日本全国には当社LSIを搭載したパチンコ・パチスロ機が数多く設置されており、市場全体で見ると大きな削減効果が期待できます。
  • LSIの低消費電力化により、製品化されたパチンコ・パチスロ機本体が発する熱量を抑え、長寿命化や省エネに貢献します。
  • LSIの低消費電力化により、プラットフォームの寿命・変更サイクルが長くなるため、廃棄削減に貢献します。
<LSIの低消費電力化の要因は?>

一般的にリアルなCGの表現方法は次の2つがありますが、アクセルのLSIは①の動画再生方式を採用して開発しており、様々なところで低消費電力化を実現しています。

  1. ①動画再生方式
    開発時にレンダリングしたCGを、動画に変換して圧縮データとして保存し、動画として流す方式。
  2. ②リアルタイムレンダリング方式
    開発時にレンダリングしたCGを、位置や形状、質感データとして保存し、表現時に再構成する方式。

※当社調査より

効果 動画再生方式(当社) リアルタイムレンダリング方式
データの圧縮のしやすさ(メモリ容量削減) ×
開発時の電力消費量
パチンコ機での電力消費量
視点の自由度・インタラクティブ性 ×(補足)
プラットフォームの寿命 長い 短い

(補足)インタラクティブ性が求められない遊技機においては、デメリットになりません。

3. ワンチップソリューションとコンテンツ開発支援環境の提供

LSIの性能向上だけでなく、CPU、サウンド機能をはじめLED・モータなど周辺機器の制御まで、パチンコ・パチスロ機の演出に必要となる機能をワンチップソリューションとして提供しています。
また、顧客側での効率的で迅速な開発を可能とするため、評価基板やコンテンツ開発支援環境等、高度なツール群を提供しています。

<環境への影響・期待>

LSIをワンチップで提供することにより、今までバラバラに配置されていた機能が集約され、基板面積を小さくすることが可能となります。使用部品点数も少なくなるので、製造工程で使用する基板材料・部品の削減ならびにその廃棄削減が期待できます。
また、開発支援環境の整備により、顧客のコンテンツ開発工数が小なくなり、開発時の電力消費量削減に貢献します。

新規事業領域の事業拡大を通して社会課題解決に貢献

独自の研究開発力・総合的な開発力を、これからの時代に求められる新規事業4領域(機械学習/AI、ブロックチェーン、セキュリティ、ミドルウェア)でも積極的に生かし、事業の拡大を推進しています。当社のコア技術を生かした事業拡大を通じて、新規事業の領域においても、環境問題を含む社会課題の解決に貢献します。

<環境への影響・期待>

独自のコア技術を生かし、新規事業の各領域においても、顧客ニーズに合致した製品の提供ならびに、環境に配慮した製品開発・提供を推進し、社会課題の解決に貢献します。

■機械学習/AI領域での貢献

200種類を超える汎用的な学習済みAIモデル(ailiaModels)を提供しており、顧客は新たにAIモデルを開発する必要がなくなります。これにより、ビッグデータの解析や、高性能PC機材等での解析が不要になるなど、顧客の開発効率化・短期化に寄与し、電力使用量の削減など環境負荷低減に貢献します。

知財戦略・方針

技術応用を支える研究開発と知的財産保護
適切な研究開発投資と知財マネジメントで製品の独自性及び競争力を向上

「研究開発の成果を知的財産権によって保護して活用すること」「第三者の知的財産権を尊重すること」を方針 として定めています。
知的財産権によって保護する技術としては、他社との差別化となる当社独自の研究開発全般で、国内の遊技機市場製品で利用される各種データの圧縮・伸長に関するアルゴリズムや、そのアルゴリズムを高速かつ低消費電力で実行するための半導体回路等があります。これらを積極的に保護することで、製品の独自性及び競争力を高めています。
また、近年は機械学習/AI関連や暗号等、新規事業関連の知的財産取得を推進し、新規事業関連のサービスで用いられる技術の差別化を図っています。

なお、独自技術の保護の観点から、特許をむやみに申請・公開せず、敢えてブラックボックス化するケースもあります。申請・保持する特許件数の多さも一般的には企業における一つの研究開発力の指標ではありますが、その考えに固執することなく、バランスを取りながら知財戦略を立案しています。

<特許保有件数等>

保有する特許権は国内遊技機市場製品に関するものが多数であり、権利満了や権利放棄により遊技機市場製品に関わる保有特許権は漸減していますが、新規事業関連技術の特許権は毎年増加しています。 また、従来は国内遊技機市場製品に関わる技術のため、専ら日本の特許権のみを取得していましたが、新規事業関連の技術についてはグローバル対応を想定し、アメリカ、中国での出願・権利化を進めています。

国内特許保有数のグラフ
外国出願件数のグラフ